プロフィール

こんにちは。
洗濯したきりそのことを忘れて、夜に思い出して干すのはまだいいほう。洗濯をしようとしたら、前の日にかけた洗濯物が、洗濯機に入ったまま乾き始めていたことさえよくある、林真未です。

ここでは、そんな人間が幸せな子育てのヒントをお届けできるのか?!という疑念にお応えします。

子育てが苦手だから家族支援が得意なのだ

まずはこちらのマンガを。

こんなふうに、仕事に夢中になってPCの前から離れられず、夕飯作りがずれ込むなんていうのはよくある話。
でも、だから簡単な料理で済ませようという融通性はない。
もういい時間だというのに、子どもがおなかをすかせて待っているのに、「やはり自然食品で育てないと」というこだわりを捨てられない要領の悪さ。

私の子育ては、仕事を始める以前から、一事が万事こんな感じ。
たとえば、毎日寝る前に読み聞かせをしよう!と心に決めても、いろいろ雑用を片付けていたら、それで時間が遅くなって、気づいたら子どもがソファで寝ちゃっていたりするわけですよ(笑)。

自分では一所懸命やっているつもりなのに、能力が追い付いていないというか。
そのくせ、子育てへのこだわりは人一倍強くて、でも、頑張ってもそんな感じだから、うまくいかなくて落ち込むことばかり。

けれど、家族支援と子育て支援プロフィール記事でご紹介したように、私が子育てしていた頃の子育て講座の講師は、

lecturer
lecturer
こうやったらよい子に育つのでこうしなさい。

っていう人ばかりで、だれも私の

mami
mami
うまくやりたいのに、うまくやれない

というもどかしい気持ちに応えてくれません。
そこで、

mami
mami
誰も言ってくれないなら私が言ったるわい!

ってなっちゃったんですよねー。そして、このようなことに。

アメリカの家族支援者向けの本にも、こう書いてありましたよ。

親(子育てする人)は、正しい情報よりも、まず共感がほしい。

というわけで、家族支援者・子育て支援者は、子育てが上手だから、それをレクチャーするのだと誤解されがちなんですが、実は、子育てが下手な人ほど家族支援の素養がある、と私は思っています! ←自分に都合のいい論理(笑)。

障害のある子との出会い

私が家族支援者として胸を張れる理由に、このことは外せません。

ちょうど私が家族支援を志した1990年代初めの頃のこと。
私はあるきっかけから、初めてボランティアを経験しました。

知的障害を持つ人達の余暇活動の外出介助。
彼らの周りにいる人達(社会福祉協議会とか福祉作業所の職員)が、障害を持っていたって健常の人と同様に、親と離れて休日を楽しむべきだと考え、自分たちの休日を返上して行っているボランティア活動への参加でした。

私の担当は、重度知的障害の女の子の外出介助。
彼女はトイレも1人ではできません。
介助者が一緒に入って、すべての世話をしなければいけないのですが、初めてのボランティアだった私は、それが全くできずに、駅の公衆トイレの個室入り口で立ち尽くしてしまったのです。
そこにスッと入ってすべて手早くすべてを代わってしてくれたのは、作業所職員の女の子でした。

当時私は25歳。まあまあ有名な大学を出てマスコミ業界で働いてけっこうなギャラももらっていて、自分的にはイケてる立場だと密かに思っておりました。
一方、その女の子は高校を出たばかりの福祉作業所職員。学歴も収入も当時の私より低かったと思います。

でも、立ち尽くしながら、私はこのとき大きな衝撃をもって悟ったのです。

mami
mami
私は、とんでもない半人前だ。学歴とか仕事の派手さとか収入とかじゃ人間は測れない。自然体で私を助けて、排泄の介助を難なくこなすこの人に比べて、私は人間としてずっと劣っている。

これ以外にも、この日は様々なことがありました。

そのルックスゆえ、私が話しかけすらしなかったダウン症の男の子が、実はとてもピュアなハートの持ち主で、私に気を使って水筒の紅茶をわけてくれようとしたこと。
ボランティアの男の子が、ほとんど動かない巨漢の知的障害の男の子に海を楽しませてあげるため、わざわざ自分の私物のカヌーを車で運んできて、それに彼を乗せて海へ漕ぎ出そうと悪戦苦闘していたこと。
参加者の家族にも出会い、障害のある子を育てる家族には、健常の子の子育てに比べて、かなりの負担と精神的なシンドさがあると知ったこと。

この日の経験は、それまで生産性があることや優秀であることこそ評価されるという価値観で生きていた、私の後半生を大きく変えました。
目に見えない大切なものの存在に気づいたって言ったら、きれいすぎるかな……。

mami
mami
とにかく私は、この経験をきっかけに、夢中になって障害、中でも知的障害について調べ、考え、行動することになったのでした。
この時、座右の銘「心に永遠に乾かない涙を(福井達雨)」にも出会いました。

今振り返ると、障害のある子やある人と出会う前の私は、まるで片目をつぶって生きていたようだと感じます。
”障害”について考えることは、教育や子育ての本質を考えることに繋がります。

mami
mami
健常の子しか育てていないなら、強く、障害の子を持つ家族と出会うことをお勧めします。

子育て勉強会から子育て支援、そして家族支援に至るまで

家族支援と子育て支援プロフィール記事に書いた事件をきっかけに、自身の子育ての辛さ、そして障害のある人との出会いなどが相まって、私は家族支援を一生の仕事と思い定めます。

とはいえ、1990年初めには、まだ家族支援という言葉も、子育て支援という言葉さえなく。ましてや、それがお金を得る仕事になるとは露ほども思わず。幸い、稼ぎ手の夫がいたので、私は一生、主婦をしながら家族を応援するボランティアワークをしようと思っていました。

転勤族の夫について各地を転々としながら私がしてきたことを、表にするとこんな感じです。

子どもがいない頃 まずはいろいろ知りたい!と横浜で図書館通いの独学と学童保育のアルバイト
1人目が生まれて その時お世話になった助産師さんの援助で、四国子育て勉強会を3年間主宰。
2人目が生まれて 東京に移る。やっと子育て支援という言葉が認知され始め、地元の冒険遊び場立ち上げや、この頃広まり始めた子育てひろばのボランティアに参加
3人目が生まれて 外国に家族支援という仕事があることを知り、自分の実力が知りたくて、カナダの大学のインターネット通信教育を受け、その資格(Family supports certificate specialization in family life education)を取得
子どもたちが幼稚園生・小学生だった頃 資格取得時に住んでいた北海道を中心に、全国の、主に社会教育行政の依頼で、行政関係者向け、一般向け、親向け、祖父母向けなど、様々な子育て支援講座や家族支援解説講座を行う

というわけで、一生ボランティアで続けようとささやかに始めたことが、なんといつのまにか仕事として成立し順風満帆な人生に。
それなのに、ある日突然、突拍子もない考えが、頭に飛び込んできたのです……。

突然、小学校教師になる

頭に飛び込んできたのは、教師になるというアイデアでした。

もうすでにイイ年で、迷っている間に年取っちゃうなーと思ったので、すぐに国内大学の通信教育で資格を取得し、夫の東京転勤に伴い、東京都の教員に。って2行で書きましたが、実は、正規の教員になるまで、6、7年かかりましたー。

教員はとてもやりがいのある仕事です。
そして、家庭と学校の二つの世界を知っていることも、私の家族支援者としての大きな強みです。

再びのボランティアワーク

教員の経験をへて、ますます家族支援の必要性を身に染みて感じました。やっぱり家族支援は必要だ! 私も、家族支援的ななにかをしたい! そう衝き動かされる日々でしたが、公務員の身ではもう、ファミリーライフエデュケーター(家族支援者)をメインの仕事にはできません。
そこで、3つのサイトをボランティア運営することにしました。

一つは支援者向けの家族支援と子育て支援
もう一つは教師向けの家族支援@学校
そしてこの幸せな子育てのヒントby家族支援

かつて、資格を取得し起業したとき、私の仕事で、どなたかおひとりだけでも、誰かの子育ての力になれたらと願いました。
このサイトも、どなたかおひとりだけでも、誰かの子育ての力になれたら……と思って、誠心誠意書いていきます

林 真未 (はやし まみ)

好きな曲はクリープハイプ「イノチミジカシコイセヨオトメ」と神聖かまってちゃん「きっと良くなるさ」。マキシマムザホルモン「予襲復讐」は格別。(みんな息子と娘に教わった)

1964年生まれ
カナダ・ライアソン大学(現トロント州立大学)認定ファミリーライフエデュケーター/公立小学校教員(東京都学校教育相談研究会役員)/特定非営利活動法人手をつなご理事
立教大学文学部卒/カナダ・ライアソン大学生涯教育部家族支援職資格課程ファミリーライフエデュケーション専攻修了/明星大学人文学部教員免許資格取得退学

連載
学びの場.com・教育つれづれ日誌
授業力&学級経営力(明治図書出版) イラスト解説 悩める教師のための 保護者トラブルシューティング(2021,4-2022,3)、トラブル防止につながる!保護者の信頼をつかむあんしんフレーズ」(2022,4-2023,3)
著書
「困ったらここへおいでよ。日常生活支援サポートハウスの奇跡」東京シューレ出版)定価1600円(税抜き)
「子どものやる気をどんどん引き出す 低学年担任のためのマジックフレーズ」(明治図書出版)定価1860円(税抜き)
「一人一人違う子どもたちに 伝わる 学級づくりを本気で考える」(明治図書出版)定価2156円(税込み)
「「ふつう」に心がざわつく子どもたち」(明治図書出版)定価2156円(税込み)
これまでの主な仕事
・子ども未来財団助成研究「妊娠期から2歳までの子どもと家庭への支援プログラム開発に向けての調査・研究」報告書・カナダの子育て支援の章・執筆/東京・生協総合研究所・子育て研究会にて「カナダの子育て支援と支援職」について報告/北海道・十勝管内社会教育主事等研修会・基調講演「子どもの幸せを育むもの」講師  ほか多数