連日、児童虐待や体罰のニュースを耳にします。子育てのリアルを体験していないオトナたちが、そのたび親を非難するけど、ぜんぜん、あれは親のせいじゃない。そりゃ、責任はありますよ、でも、彼らだって、生まれた瞬間はぜったい幸せに育てようと思っていたはずなんです。それが、なぜそうなってしまったのか。そこに思いを馳せたいのです。
現代は、子守するより勉強し、育児を身近に感じないまま大人になる人がほとんどの時代。
そんな時代に育ってきたのに、
そもそも、子育ての”リアル”の経験もなく、教えもないのに、いきなりうまくやれるわけがない。
そもそも、核家族化や”ご近所”の消失で、子育てを親だけが担う無理を強いられているのに。
そもそも、少子化をどうする!って叫んでるわりには、子育て世代に公的なおカネも時間も充分配分してないのに。
それなのに、世間は、やみくもに親に完璧な子育てを求めます。
親なんだから、ちゃんと育てるのは、当然のことでしょう? ってみんな言う。
……ちゃんと子育てする必要なんてぜんぜんないのに。
むしろ、そういうプレッシャーこそが、虐待や体罰の遠因なのに。
どうしてわかってくれないの?
もう、これ以上、悲劇を見たくない。私にできることはなんだろう。
………というわけで、虐待や体罰をしないで、親が子育てできる方法を考えました。
方法その1 予め学習する
子どもを産む前、理想を言えば子どもの頃から、実際に赤ちゃんをあやしたり抱いたり、小さい子と遊んだり食べさせたり寝かせたり、そういう経験を積んでいくことをお薦めします。
産む前に、こういった経験が豊富にあれば、初めての子でも余裕をもって子育てできます。すると、子どももゆったりと育ちますから、不安がってすぐ泣くタイプにもなりにくい。一方、親の方も、乳幼児はこちらの思い通りにはいかないと経験済みですから、泣きやまないとか駄々をこねるとかでパニックになりにくいのです。
といっても、これを読んでいる人は、もうママさんパパさんになった人達ばかりでしょうから、今さらそれは難しいですね。
そこで、この記事を用意しました。これを使ってペーパー学習しておくだけでもちがいますよ!
育児書なら、
〇ひとりひとりのお産の育児の本(毛利子来 著 平凡社刊)
〇育児の百科(松田道雄 著 岩波書店 刊)
がお薦めです。
これらの本は、育児の理想を説くのではなく、月齢順に、丁寧に子育てのリアルに寄り添ってくれていて、ユーザーフレンドリーなので、私は好きです。
方法その2 先輩の子育てを見聞する
先輩っていっても、立派な親や、しっかりとした保育者に、理想的な子育ての話なんか聞いちゃダメですよ。
そんなことしたら、むしろ体罰に繋がってしまいます。
「あーいうふうにちゃんとやりたいのに、どうしてできないの! バシッ」
ってなっちゃう。
そうじゃなくて、テキトーに子育てしているタイプの親に近づくのが一番いい。
「え? そんなんでも、子どもって育っちゃうの?」
っていうくらいの実例をふんだんに見たり聞いたりしておいたら、
「まあ、ああいう親もいるんだから、このくらい大丈夫か」
って感じで育てられます。
そんでもって、そういう、ゆるやかでいい加減な子育てって、親もラクであると同時に、子どももすくすく育っちゃうので、いいこと尽くめなんですよ……。
(ゆるやか過ぎて一週間もお風呂に入れないとか、そういうことは言ってませんからね、念のため。)
方法その3 みんなで育てる
世間の皆様がこぞって、親に「こうすべき」「ああすべき」というのをさんざん見聞きしているので、私はあまり親の皆さんに「こうすべき」を言いたくないんですが。
ひとつだけ、全力でお薦めしたいことがあります。
それはコミュニケーション能力をつけること!
とにかく、人と繋がる能力があると、子育ては格段にラクになります。
虐待や体罰のリスクも、ガクッと減る。
要は、乳幼児と自分の、二人きりの時間を極力少なくすることです。
できれば二世帯三世帯住居にして住んだらいいし(折り合いが悪い場合はこの限りではないけれど)、核家族だとしても、昼間の時間は仲間にかこまれて過ごしたらいい。夜はパートナーがいてくれたらいい。
また、出かけた先で子どもがぐずったり泣いたりした時も、コミュニケ―ション能力は重要。
子どもに手を焼く状態になったらすぐ、
「すみません! 皆さんご迷惑かけてます!」
と周囲に向かって大きな声で叫ぶのです。
すると、そう叫んだ瞬間に、冷たい視線が温かくなり、中にはあやしてくれる人まで現れます。
反対に、これができないと、こそこそと物陰に連れて行って、
「もう、いい加減泣きやみなさい! バシ!」
になりがちです。
贅沢を言えば、向こう三軒両隣に、いつでも預かってくれるおばちゃんや、窮地に陥ったら昼夜を問わず連絡できるご近所さんを作れたら、もう万全です。
ご近所とコミュニケーションがとりにくかったら、子ども家庭支援センターや子育てひろば、あるいは役所の子育て相談窓口にとりあえず行ってみましょう。
とにかく行動することです。
子育てシェアハウスやSNSでの繋がりも、新しいコミュニケーションのかたちですね。
方法その4 あきらめる
何をしても泣きやまなければ、あきらめる(病的な場合を除いて)。そのうち泣き疲れて寝ます。
食べないんなら食べさせることをあきらめる。一食や二食抜いたって死にません。
(抜きすぎたら、ネグレクトです……)
寝ないんなら寝ないであきらめる。そのうち寝ます。
スーパー等で買い物中に駄々をこねて、長い間手を焼いているなら、「ここで折れては教育に悪い」とか思ってないで、あきらめる(私はこういうとき、意地でもあきらめなかったけど笑)。
自分はよい親にはなれそうもないとあきらめる。
自分だけでなんとかするのをあきらめる。
とは言っても、なかなかこれがあきらめきれない。これらをあきらめきれないことの背景に、私は「親なんだから自分でちゃんと育てるべき」という暗黙の日本的社会規範が大きく影を落としていると思っています。親自身も社会もそう思っているから、親が自分のできなさを隠そうとして子育て困難が密室化してしまうし、いざ誰かに頼ろうと思っても、追い詰められたときに気軽に頼れるシステムがない……。
方法その5 満足する
生きてるだけでありがとうと満足する。
これ、超単純だけどいちばん難しいヤツです。
だけど、この”満足する”を充分できる親に育てられた子は、一番幸せです。多分、誰よりも自分の人生を謳歌できるような気がします。
番外編
上記5つの方法を実践しても、どうにもうまくいかない場合、親自身の子ども時代の経験が、子育てに影を落としている場合もあります。
民間カウンセリングは高額なので、友人知人に相談したり、男女共同参画センターや子ども家庭支援センター、行政の子育て相談窓口等の無料カウンセリングを利用したり、とにかく、いろいろな人と話してみることをお薦めします。あるいは、友人知人に話せなかったり、公共サービスの相談員さんとウマが合わなかったりしたら、インターネットや図書館で独学するなどして、自分で自分を見つめてみるのもいいかもしれません。
ただ、自分を見つめるとか言い出すと、高額のおカネがどんどん必要になるサービスも巷にはたくさんあるので、そこらへんは見極めてくださいね。
いかがでしたか。
言いたいことは、
やる前にちょっとベンキョーして
いつでもたっぷり人に頼って
多くを望まず
テキトーにやりましょーってことです。